無線交信の手順について流れに沿った基礎知識の紹介

交信の流れに沿った基礎知識の紹介

①交信周波数が使用されていないか確認
 18_バンドプランを知っておこう
②呼出周波数に移り、コールサインと交信周波数をアナウンス
③交信周波数に戻り、コールサインをアナウンス
 19_コールサインとは
 20_移動局はポータブル
 21_フェネティックコード(英文)
 22_フェネティックコード(和文)
④応答のお礼と、シグナルレポート等(明瞭度・信号強度(RS)・名前・住所)を交換
 23_RSレポートとは
 24_交信記録としてのログ
⑤交換した相手のシグナルレポート等の確認とQSLカードの交換の約束(※必須ではない)
 25_QSRカードとは
 26_JARLとは
⑥話をしたら、お礼を言って「さようなら。」で交信を終わる
 27_どんな話をすればいいのか?

18_バンドプランを知っておこう

○バンドプラン
 やみくもに、電波を出すとダメです。交信を行うための周波数を知ろう。

アマチュア無線で使うことが出来る周波数帯(バンド)や電波形式(モード)は 「バンドプラン」と呼ばれるルールの中で決められています。
144MHz帯は、1440.00MHzから146.00MHz、430MHz帯は、430.00MHzから440.00MHzですが、この周波数帯の中に、さらに細かく○MHzから○MHzまでは、この電波形式で交信をしましょうといったことが、決まっています。

144MHz帯/430MHz帯、電波形式FMの場合は、
    144.70MHzから145.80MHz
    431.40MHzから431.90MHz
    432.10MHzから434.00MHz
    438.00MHzから439.00MHz
の範囲で更新します。

※特にレピータの周波数は使わないこと。
(434.00MHz~435.00MHz)

○呼び出し周波数、非常通信周波数を覚えておこう。
 呼び出し周波数とは、相手局を呼び出したい時に使う周波数です。非常用周波数とは、災害などで人命救助や救援といった非常通信に使う周波数です。
 呼び出し周波数は、多くの局が呼び出しを行うときに使用する周波数で、占用してしまうと他局が使用できません。この周波数では、呼び出しのみ行い、会話は交信周波数に移動してからにしましょう。

呼び出し周波数や非常用周波数を、普段の交信として使う交信周波数として、使わないようにしましょう。

○実際に交信を行う際の周波数のコツ
 また、FMは帯域が広いので、更新を避けるため、20kHz(0.02MHz)の偶数ステップの周波数で交信するのが、慣例です。
例えば、
 144MHz帯だと、
 144.70、144.72、144.74、・・・145.80MHz
 430MHz帯だと、
 431.40、431.42、431.44、・・・431.90MHz
といった具合に、20kHz(0.02MHz)間隔の偶数で交信周波数を探します。

コールサインとは

コールサインとは個々の無線局に割り当てられた識別信号のことです。コールサインには一定の割り当て法則があり、それにより国や地域を特定できます。詳細は割愛して、説明していきます。

コールサインはプリフィックスとサフィックスに分けられます。さらにプリフィックスの中には、国際字例とエリアナンバーにに分けられます。

・プリフィックス
プリフィックスは国際電気通信連合(ITU)が定める国際呼び出し符号字列分配表に基づいて国や地域に割り当てられています。
日本の割り当て国際字列は、JA~JS 7J~7N 8J~8Mです。

国際字列の次の数字は地域を表すエリアナンバー(地域番号)です。各地方総合通信局の管轄地域を表しています。例外として7K~7Mは1~4の数字が割り当てられていますが、これらはエリアに関係なくすべて関東エリアのものです。

・サフィックスは、アルファベットのA~Zの組み合わせで、AAA・AAB・AAC・・・・というように、アルファベット順に割り当てられます。このアルファベットの1番目をトップレター(ファーストレター)、2番目をミドルレター(セカンドレター)、3番目をラストレター(テールレター)とも言います。
 トップレターがYとZではじまるのは、クラブ局(社団局)です。よって個人局には、AAA~XZZ、社団局には、YAA~ZZZが割り当てられます。また、JA局の古い個人局には、AA~ZZのサフィックスが2文字の局も存在します。

 これら、プリフィックスとサフィックスを合わせたものが、コールサイン(呼出符号)です。

20_移動局はポータブル

移動運用していることを相手に手短に伝える方法として、コールサインの後にエリアナンバーを付け加えるという方法があります。これは、必須でなく、こういった方法で相手に親切で伝えることもできるというやり方ですので、移動運用中に必ず伝えなければならないというわけではございませんと言うことを申し添えておきます。

常置場所を離れて、移動運用する時にコールサインの後に「JA4ABC ポータブル ファイブ」のように付け加えます。ログなどへの記入の仕方としては「JA4ABC/5」のように斜線と数字を書きます。後の数字は送信する現地のエリアナンバーです。
エリアナンバーは、1=関東、2=東海、3=近畿、・・・という具合に10の地方総合通信局の管轄区域に分けられています。
たまに、「ストローク5」という人もいますが、そればポータブルと同じ意味です。

車やバイクなどで走行中の場合に、一定の場所からのポータブル運用と区別するために「モービル 5」という人もいます。走行中でも陸上移動に違いはありませんから「ポータブル 5」でもよいのです。常に動いているということを強調したい時には「モービル *」と言ってもかまいません。

海上移動の場合はコールサインの後に「マリタイムモービル(記入は/MM)」と付け加えます。MMという文字から俗語で「ミッキーマウス」という人もいます。
海上にはエリアナンバーがありませんので、参考情報として○○湾○○沖とか○○半島沖というように大まかな位置を付け加えてもよいでしょう。
注意点は、船が航行中でも河川や湖の場合は陸上とみなされますので、マリタイムモービルではなく、単にモービル又はポータブルと言います。船が係留中の場合も陸上とみなされます。

上空移動は「エアロノーティカルモービル」又は「エアーモービル」(記入は/AM)と言います。上空にもエリア番号がありませんので、東京上空というように大体の位置を伝えればよいでしょう。

21_フェネティックコードとは(英文)

フェネティックコード又は通話表とは、無線電話で通話文の聞き間違いを防ぐために制定された規則で、混信や電波状態が悪い中での交信、発音の仕方や癖などがあっても、原文を一文字ずつ正しく伝達するためのものです。

例えば、M(エム)とN(エヌ)、G(ジー)とZ(ズィー)、数字の1(イチ)や7(シチ)などは、発音が似ているため聞き間違いをして、誤って相手に伝わる可能性が有る場合に、間違いなく伝える為にフェネティックコードはあります。
A ALFA   アルファ AL FAH        
B BRABO  ブラボー BRAH VOH       
C CHARLIE  チャーリー CHAR LEE      
D DELTA  デルタ DELL TAH        
E ECHO   エコー ECK OH         
F FOXTROT  フォックストロット FOKS TROT 
G GOLF  ゴルフ GOLF         
H HOTEL   ホテル HOHTELL       
I INDIA   インディア IN DEE AH    
J JULIETT  ジュリエット JEW LEE ETT  
K KILO   キロ KEY LOH        
L LIMA   リマ LEE MAH        
M MIKE   マイク MIKE         
N NOVEMBER ノベンバー NOVEN BER    
O OSCAR  オスカー OSS CAH
P PAPA パパ PAH PAH        
Q QUEBEC  ケベック KEH BECK      
R ROMEO   ロメオ ROW ME OH      
S SIERRA  シエラ SEE AIR RAH     
T TANGO   タンゴ TANG GO       
U UNIFORM  ユニホーム YOU NEE FORM   
V VICTOR  ビクター VIK TAH      
W WHISKEY  ウィスキー WISS KEY     
X X-RAY   エクスレイ ECKS RAY     
Y YANKEE  ヤンキー YANG KEY      
Z ZULU ズール ZOO LOO

22_フェネティックコード(和文)

ア 朝日のア
イ いろはのイ
ウ 上野のウ
エ 英語のエ
オ 大阪のオ

カ 為替のカ
キ 切手のキ
ク クラブのク
ケ 景色のケ
コ 子供のコ

サ 桜のサ
シ 新聞のシ
ス すずめのス
セ 世界のセ
ソ そろばんのソ

タ 煙草のタ
チ ちどりのチ
ツ つるかめのツ
テ 手紙のテ
ト 東京のト

ナ 名古屋のナ
ニ 日本のニ
ヌ 沼津のヌ
ネ ねずみのネ
ノ 野原のノ

ハ はがきのハ
ヒ 飛行機のヒ
フ 富士山のフ
ヘ 平和のヘ
ホ 保険のホ

マ マッチのマ
ミ 三笠のミ
ム 無線のム
メ 明治のメ
モ もみじのモ

ヤ 大和のヤ
ユ 弓矢のユ
ヨ 吉野のヨ

ラ ラジオのラ
リ リンゴのリ
ル るすいのル
レ れんげのレ
ロ ローマのロ

ワ わらびのワ
ヰ ゐどのヰ       
ヱ かぎのあるヱ
ヲ 尾張のヲ

ン おしまいのン
゛ 濁点
゜ 半濁点

一 数字のひと
二 数字のに
三 数字のさん
四 数字のよん
五 数字のご

六 数字のろく
七 数字のなな
八 数字のはち
九 数字のきゅう
〇 数字のまる

ー 長音
、 句読点
」 段落
( 下向括弧
) 上向括弧

23_RSレポートとは

RSレポートは、相手の電波がどのうような状態で自分のところに入ってきているかを数字で表すものです。
交信中に必ず伝えなければならなりません。

Rはリーダビリティ(了解度)で、1~5の数字で表します。
音声の聞きやすいかどうかを数字で表し、5が最も良く「完全に了解できる」ということで、1は「了解できない」となります。

Sはシグナルストリングス(信号強度)で、1~9の数字で表します。
電波の強さで、数字が大きいほど強い電波となります。
無線機のシグナルメータをそのまま伝える人が多いようですが、無線機のシグナルメータはメーカーや機種により、設定値が
異なりますので、参考程度と考えましょう。実際の電波の強さを正確に耳で聞き分けるのは困難ですので、あまり神経質にならす、
下の表を参考に適当な自己判断で良いです。

最も状態が良い場合は、了解度5、信号強度9で、RSレポートは59(ごうきゅう又はファイブナイン)となります。

R 了解度(Readability)
1 了解できない
2 かろうじて了解できる
3 かなり困難だが了解できる
4 実用上困難なく了解できる
5 完全に了解できる

S 信号強度(Signal Strength)
1 微弱でかろうじて受信できる信号
2 たいへん弱い信号
3 弱い信号
4 弱いが受信容易
5 かなり適度な強さの信号
6 適度な強さの信号
7 かなり強い信号
8 強い信号
9 きわめて強い信号

24_交信記録としてのログ

ログとは相手局名や時間・周波数などの交信内容を記録する業務日誌です。以前は電波法で義務付けられていましたが、現在のアマチュア無線局では法的義務はなくなりました。しかし、ログは作成しておかないと、いつ、どこの誰と交信したかわからなくなります。

ログは、JARLなどで市販のログブックなどもありますが、ノートに線を引いて手作りで作ったものをログブックとして使用してもよいのです。また、パソコンのフリーソフトに「ターボハムログ」や「ログシス」などがあり、電子ログで管理することもできます。
フリーソフトは無料ですので、ダウンロードして利用すると良いでしょう。

もちろん、Excelを使った自作の電子ログで管理しても構いません。自作ですと必要な項目を好きなレイアウトで配置することができるので自由度が高く納得のいく電子ログが作成できます。

25_QSRカードとは

QSLカードとは、アマチュア無線家が交信したことを証明するため、交信相手に発行するカードのことである。交信証明書とも呼ばれる。

無線を楽しむ人が自分のコールサインや交信した年月日や時刻、周波数やモード(FM,SSB,CW他)、了解度、相手の信号強度、音質を表すコードなどが書かいたり、最近では、メールアドレスやホームページのURLや住所や名前などが記載も多くなってきています。 この情報が書かれたカードをどうするかと言うと、このQSLカードは、アマチュア無線で交信したときに、あなたと交信しました。と言うような「交信証」というものです。誰かと交信したら必ず発行しなければならないというのではありませんが、初めて交信した相手と交換する場合が多いです。

QSLカードの交換方法ですが、新しい交信相手が出来るたびに交信相手へQSLカードを送っていては郵送料だけでお金がかかって大変ということになってしまいますよね。しかも、これが海外の相手となると大変です。その為に、代行サービスと言うのがあります。財団法人日本アマチュア無線連盟と言うのがありますので、そこへ送ると、そこから遠い海外などへ送ってくれます。だから、安心して交信ができますよ。

QSLカードには、写真がついているカードが多く、その土地の風景であったり、家族、ペットの写真、または詩が書かれたものなど、人によってカードは異なってきます。そんな個性的なQSLカードを交信しながら集めることを楽しんでいるコレクターなどもいます。 また、QSLカードづくりに凝っている人もいます。自分の土地の風景をそのつど変えてカードを作ってみたりと、QSLカードをもらう楽しみ、あげる楽しみがあるようです。

QSLカード交換について、わりと高頻度に交信中に聞かれます。アマチュア無線の間ではお互いに交信した証として、QSLカードを交換する習慣があります。これは義務ではないのですが、カード交換を楽しみにしている人も多くいるのも事実です。また、アワード(賞状のようなもの)を獲得するには必要になります。

友達等の特定の局とおしゃべりるするだけなら必要なく、交信中に聞かれた際に交換しない場合には、「ノーカードでお願いします。」と断ることもできます。

また、通常はカードをビューロ経由(JARL経由または連盟経由ともいう)で交換するのですが、お互いが日本アマチュア無線連盟(JARL=ジャール)の会員でなければなりません。JARLの会員になるのに会費は必要ですが、JARLビューロ経由ですと、コールサインの記入だけで無料で世界中のアマチュア無線局とカード交換ができます。
会員以外ですと、ダイレクト(直接郵便)で送る方法もあるにはありますが、これは相手の正確な住所を交信中に聞かないといけませんし、1枚ごとに郵便料金がかかりますので、通常は敬遠されますので、やはり「ノーカードでお願いします。」と断りましょう。

26_JARLとは

一般社団法人日本アマチュア無線連盟(英語: The Japan Amateur Radio League, JARL)は、アマチュア無線愛好家を中心として組織された非営利団体である。日本におけるアマチュア無線の健全な発展をはかり、あわせて、内外の無線科学、文化の向上と発展に寄与することを目的とし組織されている。英文略称から「ジャール」と呼称される。

主な仕事は
•アマチュアバンドの確保や制度の改善など、アマチュア無線の権益を守り育てて行くための活動
•国際アマチュア無線連合(IARU)に加盟する日本の代表機関として、世界のアマチュア無線団体と連携し、アマチュアバンドの確保や各国のアマチュア無線の普及発展に協力して行くこと
•機関誌の発行や QSLカードの転送など、会員が日々のアマチュア無線をよりよく行えるよう各種のサービスを行うこと
•アワードの発行、コンテストの実施、アマチュア無線フェスティバルの開催、各種の講習会などを行い、アマチュア無線がより有意義で活発なものとなるよう努力して行くこと

といったことになっている。

会費について
入会費:1,000円
1年間:7,200円

不特定多数との交信を行うことを目的としているアマチュア無線家は JARL に入会し QSLカード交換などを行っている。加入は強制ではなく、あくまで任意。加入していない無線家も増えているらしい。

27_どんな話をすればいいのか?

交信成立の最低条件は、お互いのコールサインとRSレポートの確認です。しかし、通常の交信では、少なくともそれに加えて、運用場所や名前の紹介、QSLカードの交換の有無などが行われます。

一般的にFMでは、比較的のんびりと話をする傾向がありますが、車の移動中や異常伝搬等でいつ交信が途絶えるかわからないときには必要最小限の交信になりますし、パイルアップ(大勢に呼ばれること。CQ呼び出しに対して、同時に多くの局が応答する場合など)の場合もできるだけ短い交信にするのがマナーです。状況に応じて臨機応変に対応することが大切です。

FMでのんびり交信する場合はどんなことを話したら、良いのでしょうか?
初めての相手の場合は、運用状況や趣味などはわかりません。ですので、必要事項の伝搬が終わったあとは、無線機やアンテナの紹介、遠くの場合は気候の話題など、ありふれた無難な話をするとよいでしょう。結局は人と人とのコミュニケーションなので、色々と話すうちに共通の関心ごとが見つかるかもしれません。

交信する際の注意ごととしては、お互いに年齢や職業については相手に尋ねないのがマナーです。聞かれていないのに自分の方から言うのは構いませんが、相手に尋ねてはだめです。

また、ときにはちょっと気が合わないなーと思う相手との交信になってしまうこともあるかもしれませんが、そんなときには形式的な挨拶のみで終了すればよいのです。

いずれにしても、多くの人と交信したり、他人の交信を聞いていると要領がつかめてくると思います。ただ、注意点はすべての人が正しい交信をしているわけではありません。
コールサインを言わないモービル局の暇つぶしのおしゃべりや、仲間同士の気軽な世間話などを聞いていても意味がありません。CQ呼び出しをしている局をよく聞くことが重要です。しかも、なるべく無線用語をあまり使わず普通の話し方をしているCQ局をみつけて、その交信方法を参考にするとよいでしょう。

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